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ルーズリーフのタブ譜(まなvoodooのエッセイ)



「中1の冬休み、俺はパワプロをやる兄の背中越しに、大人への扉を開けた」





俺には姉一人と兄が二人いて、

これは7つ上の長男とのお話。


中1の冬休み、年末で部活も休みだった。

俺は兄の背中をずっと眺めていた、

プレステで、兄はパワプロをしていた。

交代してもらえるかもわからないが、とにかく暇だった。

ずっと、後ろでぼんやりテレビの画面と微動だにしない兄の背中を眺めていた。


兄の傍には自分で淹れたコーヒー、そして常にたばこの煙がゆれている。

この日の兄はいつにも増してハマりこんでいる様子で、こちらも長い戦いになる事が予想された。

そんな状態が1時間ほど続いた。

すると、ふいに兄がこっちを振り返って、

「ギターでも触ってみるか?」


予想もしてない言葉に、少しびっくりしていると、

「お前も中学生やけん、ギター弾けたらかっこよかぞ!」

「う、うん」


うちの二人の兄はギターが趣味なのだ。

だから、我が家はギターが生活の中に普通にあった。

でも、それまでは、傷つけるかもしれないという事で、俺には触れることも許されていなかった。

そんな、禁じられてきたギターを兄が勧めてきたのが、自分の中で嬉しくて、少し大人になったような気さえした。

「こうやって、持ってみ。そんで、適当に弦押さえて弾いてみろ。」

「わかった!」


ギター「ペーーン」


「ブフォッ!」

兄が吹き出している。

どうやら俺が押さえてない弦を思いっきり弾いてたからのようだった。

よくわからなかったが、兄がなんか嬉しそうだったので、こっちも楽しくなってきた。

「よし、ちょっと待っとけよ!」

兄が、さっきまで夢中になっていたプレステをほっぽり出して、なにかゴソゴソやっている。


「よし!お前はこれを練習してみろ!」


それは、

ルーズリーフに書かれたタブ譜だった。


なんか線が引いてあって、数字が書いてあるけど、チンプンカンプンだった。

兄の字が、性格とは裏腹に結構繊細だなーなんてことを思っていたら、、

「上から順に1弦から6弦、そんで数字の場所押さえればいいけん、やってみ」

「うん」

何かこれまで経験したことのない高揚感があった。

自分がギターを弾いて、兄の世界に足を踏み入れたような気がして、とにかく嬉しかった。

その譜面は、ドレミファソラシドの上りと下りだった。


それから夕方までひたすら練習した。

指がとにかく痛かった。

でも、夢中になって日が暮れた。


次の日も、朝からずっとひたすらドレミを弾きまくった。

もうパワプロなんて眼中になくなっていた。



「お前、大分弾けるようになってきたな!」

またパワプロをやっていた兄が振り返って言う。

俺は照れ笑いをして黙って頷いた。

この兄との時間がすごく幸せに感じられた。


「じゃあ次はこれな!」

兄は次の譜面を準備していたのだ。

おそらく、俺に教えるのが楽しくなってきたのだろう。

こっちもそれに応えるべく、毎日ひたすらに練習した。


年が明けて、部活が始まると、

家に帰れば、兄が新しいタブ譜を書いていてくれた。

そして、新学期になると、もう完全にギター小僧が完成していた。

そこらへんからは、市販のタブ譜を練習するようになっていった。

兄達に影響されて、洋楽のハードロックをひたすら練習した。

それから、日本のパンクや、

アコースティックギターも始めて弾き語りなんかもするようになっていった。


もうギターが体の一部と言っていいほど欠かすことのできないものになった。

そんな俺の青春時代の原点は、兄の書いてくれた、あのルーズリーフのタブ譜だった。

※これから15年ほどギターを弾く事になります。



他にも、田舎で育った私の年末の過ごし方なんかも記事にしてるのでよかったら読んでみてください。

▶️子供の頃と同じ年末を、いまもやっている。


当時は一人の時間はギターを楽しんでいましたが、今はコソコソと晩酌を楽しんでます。

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